特集 英国JAJ社製Pyrexキッチン/テーブルウェア

英国JAJ社のPyrex製品の特集です。

社名のJAJは創業者(J.A.Jobling)の頭文字から取られています。
彼は1922年からPyrexのガラス製品の製造を開始しました。
Pyrexのことは皆さんもご存知と思います。アメリカのコーニング社が開発した
耐熱ガラスで、最初のPyrex製品は1915年に販売されています。

Wear Flint Glass Works社のJoblingは逸早くPyrexのその可能性に気付き、
1921年に大英帝国での独占販売製造・販売権を獲得します。
そして、JAJ社の作った耐熱ガラス製キッチン・ウェアは大英帝国内に留まらず、
世界中で大ヒットしました。

その成功の要因は、家庭の主婦向けのマーケティングの重要性に気付いたことでしょう。
1920年代というのは、社会情勢の変化を受けて、ちょうど家庭から「召使」が姿を
消し始めた時期です。逆に、中流階級の主婦たちは料理も含めた家事全般を自分達で
しなければならなくなりました。それまで取り扱いに気を使わなくてはならなかった
繊細なガラス器具とは異なり、オーブンでの調理も可能でありながら、そのまま食卓に
あげても可愛らしいキッチン/テーブルが登場したのです。ヒットしない訳がありません。
恐らく、その後のPyrexの成功も、JAJ社に負うところが大きいと思います。


しかし、時代の流れには勝てなかったのでしょう。
2007年9月、それまで85年にも渡ってPyrex製品を製造してきたSunderland工場が
閉鎖されました。(ガラス製品の製造は150年前から始められていたようです。)
現在、製造はフランスの工場に移されており、Made in UKのものは製造されていません。

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