2013年01月26日
在庫の商品を改めて眺めてみると、不思議なものを見つけることがあります。例えば、このガラス・トップ。ガソリンスタンド用のサインです。書かれているのは「Benzol Mixture」。Benzolとはベンゼンの事です。ガソリンにベンゼン。大気汚染の原因になるということで、ガソリンからベンゼンをできるだけ除去するのが、今の常識です。
(そういえば、「ウルトラマン ゼアス」をご存知ですか?とんねるずが出ていたシリーズです。私は年齢的にリアルタイムで見ていた世代ではないのですが、出光のTV CMで存在自体は知っていました。ベンゼンを取り除いたことを売りにしたガソリン「ゼアス」の宣伝です。その後、子供がウルトラマンを見出した時に、このシリーズを改めてビデオで見たのですが、なかなかシュールな世界観でした。ウルトラマンの名前が「ゼアス」で、異常な潔癖症。変身するときに使うツールは電動歯ブラシ。地球を汚す敵役は「ベンゼン星人」。秘密基地がガソリンスタンド。ウルトラマン・シリーズの中でも下らなさはピカイチだと思いますが、ここまで徹底してくれると、ある種の清々しさを感じたものです。)
ところが、この看板は「Benzol Mixture」です。間違っても「Benzol Free」ではありません。不思議だなと思って調べてみると、どうやら第二次大戦前後のものだと分かりました。
当時の世界情勢では、「石油の一滴、血の一滴」で、ガソリンも節約しなければなりませんでした。そこで目を付けられたのが、石炭からコークスを製造する際に副産物として出てくるベンゼンだったようです。ただ、どうしても熱量は少なくなりますし、煤も多くなる(オイルが汚れやすくなる)はずです。「Benzol Mixture」と示すことに何のメリットがあったのか。価格が安かったのでしょうか。(ただ、見つけた昔の新聞記事だと、価格も安くはならないようなのですが・・・。)
⇒昔の新聞記事